カフェの店員はデートします!
相川くんにそっと口元に触れられる。生クリームが少しついてしまっていたみたい。恥ずかしい……。

「ごめんね、ありがとう」

「いえ。それより、ショートケーキとても甘いですね」

指についた生クリームをペロリと舐めた後、相川くんが微笑む。彼が食べているのはチョコレートケーキ。ショートケーキよりは甘くない。

「とっても甘くておいしいの。一口食べる?」

私が訊ねると、「ショートケーキじゃなくて、萌さんをもらっていいですか?」と訊ねられた。

「えっ?」

どういうこと、と訊ねる前に私の腕が引かれてチュッと唇に優しい感触がする。

「萌さんの唇、とっても甘いですね」

相川くんが顔を真っ赤にしながら笑っていて、私はそっと唇に手を当てる。私の顔も真っ赤なんだろう。

ケーキよりも、キスの方が甘いって本当なのかもしれない。




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