【激短編】区切られた空
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「本当に邪魔だね…あの塔。」
カーテンを閉める手を止めて、僕は呟いた。
「そう…あの塔のせいで、空が真っ二つなんだ…」
気だるい調子で君がぼやく。
窓辺に立つ僕の横に、君が静かに歩み寄った。
もう殆ど沈みかけた夕日が迫り来る闇と溶けあい、絶妙なコントラストを織りなしていた。
この小さなワンルームには、多少大袈裟にも感じられる、大きな出窓に二人の姿が移る。
ベランダが、まるで額縁のように、眼下の建物を隠し、窓の外の景色は、空しか見えない。
「ここで毎日、違った空の絵はがきを眺めるみたいな感じが好き。」
と、初めて君の部屋を訪れた時、自慢気に話していた窓を、今は浮かない表情で眺めていた。
原因は、二人の視線の先にある。
都会では珍しく、絵はがきの様な空を真っ二つに分断する一本の電波塔だった。
カーテンを閉める手を止めて、僕は呟いた。
「そう…あの塔のせいで、空が真っ二つなんだ…」
気だるい調子で君がぼやく。
窓辺に立つ僕の横に、君が静かに歩み寄った。
もう殆ど沈みかけた夕日が迫り来る闇と溶けあい、絶妙なコントラストを織りなしていた。
この小さなワンルームには、多少大袈裟にも感じられる、大きな出窓に二人の姿が移る。
ベランダが、まるで額縁のように、眼下の建物を隠し、窓の外の景色は、空しか見えない。
「ここで毎日、違った空の絵はがきを眺めるみたいな感じが好き。」
と、初めて君の部屋を訪れた時、自慢気に話していた窓を、今は浮かない表情で眺めていた。
原因は、二人の視線の先にある。
都会では珍しく、絵はがきの様な空を真っ二つに分断する一本の電波塔だった。