【激短編】区切られた空
「あ、手を繋いでたとしても、どっちに落ちるのが正解かわからないねぇ。」



余程、自分の発想が気に入ったのか、君はソファに寝転がりながら子供みたいに笑って見せた。



「ねぇ、どっちが正解だと思う?」


「さぁ。どっちだろうね。」



この話題に飽きて来た僕は、大袈裟に首をかしげ話を終わらせ様と試みた。


そんな僕に気付いたのか、君は、



「ま、こんな所から落ちる機会もないだろうから、別にどーでもいいか。」



と、ソファの上で窮屈そうに寝返りを打った。


僕は君がこの区切られた空に興味を無くすのを見届けてから、閉めかけのカーテンに再び手をかける。



「あーあ、やっぱ誰かあの塔壊してくれないかな?」



背中で君が気怠そうにぼやくのが聞こえた。


僕はそれを無視して、すっかりカーテンを閉めてしまう。



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