あの丘で、シリウスに願いを


その頃。
翔太は水上達が待っているバーに向かう為、駅からベリーヒルズに繋がる通路を急いでいた。

「AEDだって!」
「これ、どうすればいいんだ」
「持って行けば何とかなるだろ!」

通路を出て目の前のインフォメーションセンターが騒がしい。AEDが必要な事態が起きているようだ。
翔太は自分が医師であることを告げ、現場に案内してもらう。


「三郎さん⁈」


人だかりをかき分けて見れば、倒れているのは三郎だ。そして彼に懸命に心臓マッサージを施しているのは…


「まこと、代わる」
汗だくで心臓マッサージをしていたまことの肩を翔太がポンと叩いた。


「し…翔太先生?」


まことが振り返ると、会いたくて、でも会えなかった人がそこにいた。
翔太はスーツの上着をまことに託すと、AEDを施し、心臓マッサージを始めた。


「三郎さん、しっかりしろ!」



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