あの丘で、シリウスに願いを
「六平先生?一条!?」
そこへ、救急隊員と共に北山と水上まで現れた。

「北山、お前のところに運べ」

三郎を救急隊員に任せると、額に浮かんだ汗をぬぐいながら翔太が言った。

「でも、うちは救急に対応してないんだ」
「場所を提供してくれればいい。幸いここに救急のエキスパートが三人もいる。俺たちに任せろ。
洸平がオペ。俺とまことが助手に入る。北山は、面倒な手続きを引き受けてくれ」


有無を言わせない。
これが、一条家の人間がもつカリスマ性。北山も従うしかない迫力。


「わかった。全責任は俺が取る」
北山はすぐ病院に連絡をする。その間に翔太は救急隊員に話をつけた。


「洸平、俺たちは一足先に病院に行って準備をしよう。まこと、案内して」

ほんの数ヶ月前に戻ったような緊張感。
三郎の命を助ける。ただそれだけを考えて、まことはうなづいた。

「六平先生、第二オペ室確保したから。
俺は、患者と後から行く。とりあえず一条と水上を連れて行って」
「わかりました。翔太先生、水上先生、行きましょう」

まことは二人を連れて走り出した。


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