あの丘で、シリウスに願いを
事務処理を済ませて北山がオペ室に入ると、すでにオペは始まっていた。
あ、うんの呼吸で、三人は恐るべきスピードでオペをこなしていく。互いを信頼しあい、こんな連携が完璧にとれたスピーディなオペは見たことがない。
なすすべもなく、北山はただ見守った。
「よし。じゃ、まこと、後は頼む」
「はい。お疲れ様でした。翔太先生、水上先生。
ありがとうございました」
まことは、看護師と共に三郎を集中治療室へと運んでいく。
その姿を見送って、北山はやっと大きく息をついた。
「すごいな、一条!横浜新医療センターが評判なのがよくわかった。いいもの見せてもらったよ。
水上の冴え渡る腕に、お前の完璧なフォロー。六平先生もよくあのスピードについていけるな。
彼女、救急向きなんだなぁ」
北山は驚きを隠しきれなかった。
「あれが本当の彼女の実力なんだな。別人みたいだった」
「毎日のことだからねー。俺みたいな凡人だって数こなせばスキルも上がるさ。
さてと、洸平、先に上がってろ。俺は北山と後片付けしてく。病院長に頭下げなきゃな」