あの丘で、シリウスに願いを
「お帰りなさい、お疲れ様」
「疲れたぁ。まこと、会いたかったよー」
「現場はどうだった?」
「詳しくは帰ったら話すよ。とりあえずまことの顔見たかったからさぁ。この三日間何も無かった?大丈夫?」
「こっちは大丈夫。あなたも元気そうね」


翔太も水上同様DMATに登録していた。今回、要請があって、出動していたのだ。


「あ、六平先生、205号室の里中さん発熱しています、みてもらえませんか?」
「あ、はい、わかりました」

看護師の呼びかけに翔太は盛大なため息をついた。

「はぁ…まこと。六平先生そろそろやめない?」
「今は医師としての時間ですから。それに、この大学病院で“一条”は絶対いや」
「まぁね、俺も一条先生と呼ばれるの嫌だけどさぁ」
この大学病院は、『一条グループ』が作った病院だ。病院内で『一条』の名はやはり一目置かれる。それが嫌な二人は、頑なに名字を呼ばれるのを嫌がる。


翔太が口を尖らせていると、白衣を翻しながら急いでいる様子が水上がやって来た。

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