あの丘で、シリウスに願いを

職場から寮までは、歩いても10分かからない。
まことは、帰宅前にコンビニに寄った。
これから始まるお楽しみの時間に必要な物を揃えて、コンビニから出た時だった。

「ワン!!!」
「あ、どうしたの!?」

散歩中の犬がまことに向かって一直線に駆け寄ってきた。
飼い主の高齢女性もビックリして、引きずられるように足をもつれさせている。

犬はしっぽをちぎれそうなほどに振って、まことの足に飛びついた。

「す、すみません!こら、ダメよ」

犬のリードを持っていた女性は、突然引っ張られたせいで息切れしている。
女性と一緒にいた若い娘が、犬をなだめようとするが、犬は興奮してまことから離れない。

「可愛い。元気なワンちゃんですね。撫でてもいいですか?」
「もちろんです!すみません、急にどうしたのかしら。こんなこと初めてです。普段はお利口さんなのに」

まことはかがんで犬の頭を撫でてやる。犬は嬉しそうにまことにすり寄ってきた。

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