あの丘で、シリウスに願いを
そう言って、バックからタッパーを取り出した。野菜の煮物がぎゅうぎゅうに詰めてある。それに母手作りの佃煮を入れたおにぎりだ。

「女の子のお弁当箱が味気ないタッパーか。でも、まこと先生らしいな」
「入れ物なんて漏れなければなんでもいい。これ、軽いし、洗いやすいし機能的なんです」
「量もすごいな。なんか、美味そう…ね?味見させて。俺も小腹がすいた」
「え?あ」

まことが返事をする前に、翔太は煮物をひょいとつまんで口に放った。

「これは意外。美味いな」
「セレブな翔太先生には珍しいだけですよ。もう、あげません」
「まぁ、まぁ、今度ご飯おごってあげるから、少しちょうだい」


…少し。
少しって言ったよね?


ものすごい勢いで煮物が翔太の口に吸い込まれていく。
結局、全部翔太が食べてしまった。


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