あの丘で、シリウスに願いを
こんなに慌てて余裕のない翔太を初めて見た。
まるで、自分の子供が生まれる新米パパのよう。
まことのことなんて、眼中にない。彼の目には柊子しか見えていない。
「翔太先生、落ち着いて下さい。そんなに慌てなくて大丈夫」
あわてる翔太を柊子がなだめる。
「柊子ちゃんは、妊娠中に交通事故に遭っているんだよ、予想外のことがあるかもしれないだろ。入院を勧めたのに頑なに嫌だっていうから」
ーーこれ、本当に一条翔太?
まことが知る仕事中の彼は、いつも肩に力が入っていない。どんなに緊迫した状況でも、焦ることなく的確な指示を出せる上司だ。
まさか、と思うけれど。
まさかこの男、親友の奥さんのこと、好きなんじゃないだろうかと疑いたくなる。
「翔太先生、ナナちゃんにお夕飯あげておきましたよ。柊子が出産で居ない間は、ちゃんと帰ってナナちゃんのお世話してね?」
「信子さん、ありがとう!うん、わかった。ナナにご飯あげる為に帰るから。ナナのことは心配しないで。さ、信子さんも病院行くでしょ?支度出来てる?」
まるで、自分の子供が生まれる新米パパのよう。
まことのことなんて、眼中にない。彼の目には柊子しか見えていない。
「翔太先生、落ち着いて下さい。そんなに慌てなくて大丈夫」
あわてる翔太を柊子がなだめる。
「柊子ちゃんは、妊娠中に交通事故に遭っているんだよ、予想外のことがあるかもしれないだろ。入院を勧めたのに頑なに嫌だっていうから」
ーーこれ、本当に一条翔太?
まことが知る仕事中の彼は、いつも肩に力が入っていない。どんなに緊迫した状況でも、焦ることなく的確な指示を出せる上司だ。
まさか、と思うけれど。
まさかこの男、親友の奥さんのこと、好きなんじゃないだろうかと疑いたくなる。
「翔太先生、ナナちゃんにお夕飯あげておきましたよ。柊子が出産で居ない間は、ちゃんと帰ってナナちゃんのお世話してね?」
「信子さん、ありがとう!うん、わかった。ナナにご飯あげる為に帰るから。ナナのことは心配しないで。さ、信子さんも病院行くでしょ?支度出来てる?」