あの丘で、シリウスに願いを
「…急患、ですか?」
気分が良かっただけに、思わず落胆した声になってしまった。

「え?あ、違うよー。そんな、ガッカリした顔しないで。
ベリーヒルズビレッジ行くんでしょ?車で連れて行ってあげる。乗り換えのいる電車より早いから」

思いもかけない翔太の提案に、まことは全力で拒否した。

「え!?いやいや、そんなのいいですよ。私、電車結構好きなんです。それに翔太先生は、デートで忙しいですよね?」
「ちょうど向こうに行くから。車から見る夜景も綺麗だよ?他の女の子は一緒じゃないから安心して乗って」
「でも…」
「ほら、悩む時間もったいないよー。早く行こ」

半ば強引にまことは駐車場に連れて行かれ、翔太の所有する高級外車の後部座席に座った。

「じゃ、出発!」

あれよあれよという間に車が出てしまった。
走り出してしまえば、さすがは高級車。最高の乗り心地だった。

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