あの丘で、シリウスに願いを
翔太はバックミラーでそんなまことを見た。
いつも、クールな彼女。恐らくは、心臓に負担がかからないようにいつも感情をコントロールしているのだろう。
「親父殿の言葉や、検査のデータは信用できない?」
「…あの痛みは、私にしか分からない。
私の一番古い記憶。心臓の音しか聞こえなくなって、苦しくて、我慢できないほど強烈に痛くて、どうしたらいいかわからなくて、泣くしか出来なかった。もう二度と味わいたくない。
私の心臓は不良品。どんなにメンテナンスして大丈夫だと言われても、『絶対』はあり得ないことも分かっています」
そう告げた彼女の声は、今まで聞いたこともないほど冷たく、鋭く、全てを拒絶しているようだった。
心臓は問題ないはずなのに、彼女自身はいつも痛みに怯えて生きているのだろうか。医師の言葉も検査データも、彼女自身の医学の知識も、その怯えを取り除きはしないのか。
一層、興味が湧く。医師としても女性しても。
六平まこと、という女性は、今まで出会ったどの女性とも違う。
「淋しいこと、言わないでよー。もちろん、用心に越したことはないよ?でも必要以上に怯えることはないと思うな。まぁ、まこと先生の言うことも分かるけど。
患者の痛みに寄り添うことは出来ても、痛みを分かち合うことは出来ないからね」
いつも、クールな彼女。恐らくは、心臓に負担がかからないようにいつも感情をコントロールしているのだろう。
「親父殿の言葉や、検査のデータは信用できない?」
「…あの痛みは、私にしか分からない。
私の一番古い記憶。心臓の音しか聞こえなくなって、苦しくて、我慢できないほど強烈に痛くて、どうしたらいいかわからなくて、泣くしか出来なかった。もう二度と味わいたくない。
私の心臓は不良品。どんなにメンテナンスして大丈夫だと言われても、『絶対』はあり得ないことも分かっています」
そう告げた彼女の声は、今まで聞いたこともないほど冷たく、鋭く、全てを拒絶しているようだった。
心臓は問題ないはずなのに、彼女自身はいつも痛みに怯えて生きているのだろうか。医師の言葉も検査データも、彼女自身の医学の知識も、その怯えを取り除きはしないのか。
一層、興味が湧く。医師としても女性しても。
六平まこと、という女性は、今まで出会ったどの女性とも違う。
「淋しいこと、言わないでよー。もちろん、用心に越したことはないよ?でも必要以上に怯えることはないと思うな。まぁ、まこと先生の言うことも分かるけど。
患者の痛みに寄り添うことは出来ても、痛みを分かち合うことは出来ないからね」