あの丘で、シリウスに願いを
しばらくの沈黙の後、車窓にベリーヒルズビレッジが見えた。きらめくベリーヒルズビレッジの灯りは、周囲のビル群の灯りと共に無数の星のように美しい。
いつもなら間違いなく心踊る景色だ。
だが“必要以上に怯えることはない”という翔太の言葉が、まことの胸に引っかかっていた。
いくら大丈夫と言われても、怖いものは怖い。やりたいことを我慢さえすれば、確実に安全。ならば、我慢なんて辛くない。
ずっとそうやって生きてきた。
でも、いつも、心は葛藤していた。
信頼する一条教授の太鼓判があり、検査の結果も悪くない。心臓は正常に機能しているのだから、やりたいことを我慢しなくていい。そう思う自分がいる。