あの丘で、シリウスに願いを
「そう言うと思った。
ほんとのこと言うと実は、俺フラれたの。イブは本命と過ごすって言われてさぁ。
だから、かわいそうな俺ともう少し一緒にいてくれない?せめて、夕食を一緒に食べて欲しいんだよ。レストラン、予約してあってさ」

ハイスペックのモテ男がイブに振られたなんて、まことには信じられない。

「翔太先生でも、フラれるんですか?」
「そう。俺は遊び相手だから。結婚とか考えてる女の子はみんな他に本命がいる。
まこと先生、懐石料理好き?よかったら一緒に行ってくれない?」
「懐石料理って…季節の懐石料理が食べられるお店ですか?」
「そう。あ、行ったことある?」
「いえ、テレビで見たことあって、行って見たかったんです。だけど、私でいいんですか?」

今日は高級レストランに相応しい服装でもないし、フラれたにしろ、翔太なら相手はいくらでもいるはずだ。

「料理の準備もあるからさ、キャンセルすると悪いじゃん。まこと先生が行ってくれれば助かるよ。ありがとう!
予約時間までまだあるから、もう一ヶ所寄り道してもいいかな?買い物があるんだ」
「それは、構いませんけど…」


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