あの丘で、シリウスに願いを
「俺は、気にならないよ?
まこと先生が一緒にご飯食べて美味しいと言ってくれたこと、一緒の時間を生きていること。その勲章のおかげだもん。むしろ感謝したいよ。
今日はありがとう」


女の子なら誰でもときめいてしまいそうな極上の微笑みでまことが一番嬉しい言葉をくれる。

胸がドクン、と音をたてた。
…ダメだ。これ以上、この人と一緒にいたらダメだと、本能が警笛を鳴らしている。

医療の世界に人生の全てをかけると決めている。痛みに苦しむ人達に希望の未来をつないであげたいから。
恋愛で一喜一憂する時間はもったいない。恋愛なんて、片想いなら苦しいだけ、成就すれば心配させる人を増やすだけ。不良品の心臓の為に苦悩するのは自分だけで充分。心臓に負担をかけないように常に自分で自分を抑えて生きていくのだ。

「そういう優しさ、要りません。
今日は、ありがとうございました。大星さん親子にお会いできたのも嬉しかったし、鈴木淳三さんにワンピースを見立ててもらって、こんな高級レストランで夜景を見て美味しい食事を頂けて、夢のように最高でした。
明日からも仕事頑張ります。水上先生と翔太先生がもっと家に帰る時間が取れるように、私にもっと仕事振ってください」
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