あの丘で、シリウスに願いを
第八章 ベリーヒルズの夜


翔太の部屋は、全てが規格外だった。

まずは広い玄関。着替えの入った紙袋は、玄関前のボックスに入っていた。
壁は真っ白で床はシックな黒。モダンな作りだ。


「うわ、寒いな。暖房入れるね」


リビングダイニングの広さは驚くほど。走り回れそうなくらいだ。バルコニーに面した広い窓からは、テナント屋上の日本庭園が一望出来た。

「ルーフバルコニーがあるんですね。
ベリーヒルズビレッジがこんなに近くでよく見える。翔太先生のお部屋、すごい」
「ナナと暮らすために、ルーフバルコニー付きにしたんだよ。忙しくて散歩に行けなくても走り回れるようにね」
「横浜のお部屋も一階の庭付きですもんね」
「そ。じゃあ、ここで着替えて。俺、そっちの寝室で着替えるから」


とてつもなくお洒落で贅沢な空間。
翔太は、本来こんな場所で暮らす人なのだ。
住む世界が違いすぎる。

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