あの丘で、シリウスに願いを
まことは、紙袋から自分の服を取り出した。
ファストファッションのお店で買った服だ。サイズが合う物がなくてメンズ用の、オシャレとは程遠い服。これに着替えて、いつもの自分に戻る。着ていた赤いワンピースは丁寧に畳んだ。

最高に座り心地の良いソファに腰を下ろして、窓の外を見る。

たぶん、本当なら今頃、若くて綺麗な女の子がここで翔太と最高の時間を過ごしていたのだろう。自分は、カップルだらけの展望台にガッカリしながら寒空の下一人歩いていたに違いない。


ーー同じ目線で色んなこと共有して、困った時は頼りあう、面倒な恋愛感情や友情なんて超えた関係、か。

はたして、そんな上手い関係が作れるだろうか。上司で、しかも、こんな世界に住むいわゆるセレブと呼ばれる人と。
不安は残る。

キンキンに冷えていた部屋は、だいぶ暖まっていた。お腹もいっぱい。今日は日中忙しくて体は疲労している。その上、このソファの座り心地の良いこと。

ーー最高に居心地の良い空間だなぁ…





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