あの丘で、シリウスに願いを
「それは、恋愛ゲームのお相手とどうぞ」
「眠れないんでしょ?二人でベッドにいて眠れないなら、他にすることは一つ。もっとお互いを知ることができるよ?」
「恋愛関係でもないのに、お互いを知ったところでどうするんですか?」
さっき、翔太の背中に腕を回して頼ってくれた。距離が縮んだと思って一歩踏み出したら、やはりこれだ。普段翔太が付き合う女の子なら、簡単に体を開くのに。
でも。
先ほど、リビングで見た情景が浮かぶ。自分の部屋にまことがいることが自然で。むしろ、愛おしいくらいの空間だった。あの空間が毎日ならいいと思ったから。
だから、離さない。
翔太は、腕に少しだけ力を込める。まことの温もりが心地よい。伝わる規則正しい鼓動に、安心する。