マリッジ大作戦
ヨーロッパに行っていたことは、知っていた。

別れを告げたその日に、返ってきたピンクダイヤモンドのネックレスに添えられていた手紙の最後に、ヨーロッパに行ってくると書いてあったから。

ただ、理由はしばらくして風の噂で聞いた程度で、真実味がなかった。

だが、海外に拠点を移すはなしもあったから、てっきり瑛士は日本の東郷リゾートの社長にはならず、海外を中心に活動するのではないかと、まゆりは勝手に思っていため、海外に行くと手紙に書いてあるのをみて、もう会えないだろうと思っていた。

久しぶりに瑛士と会って、からだが熱くなるのがわかる。

嫌いになったわけじゃない。
価値観が違っただけ。

何もかも初めてだった私には全てを教えてくれたのは瑛士で、当時はかけがえのない、すべてだった。

いまだに私のあのときの気持ちを瑛士は理解していないと思う。

私のすべてだった瑛士に別れをつげ、忘れようとがむしゃらに仕事を頑張った五年間があっけなく崩れていく予感はもうすであり。

 5年ぶりの再会は、とても熱く、そしてとてもザワザワした。
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