地獄船
俺は喜ぶと同時に嫌な予感を覚えていた。


さっきのジャンケンで勝敗がついていないということは、これからが本番なのだ。


綾の手を強く握る。


綾は不安げな顔で周囲を見回す。


「大丈夫だ。俺たちは幸運にも同じチームになったんだ。きっと、大丈夫だから」


小さな声で綾を励ました時、子鬼の1人が紙とペンを持ってやってきた。


「この紙にあみだくじをかくのか?」


「そういうことだよ。当たりは1つだけ。後は空白にしとけばいいから」


当たりは1つ。


今までのやり方を見ていると一気にまとめて殺す気はなさそうだ。


ということは、当たりをひいた人間が死ぬ可能性が高い。


「当たりを引いた奴が死ぬあみだくじなんて、俺作れねぇよ」


浩成がブンブンと首を左右に振ってそう言った。


誰だってそうだ。


そんな気味の悪いあみだくじなんて、作りたくない。
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