地獄船
あみだくじの一番下を折り曲げて相手チームに見えないようにした。


「できたか? それじゃあそれぞれ紙を交換して、好きな場所に自分の名前を書け」


鬼が指示を出す。


ここでズルをすれば、きっとすぐに殺されてしまうだろう。


まわりには子鬼たちがいるし、下手に動くことはできない。


俺はミヅキと紙を交換した。


3分の1の確率で当たりをひいてしまう。


その緊張感から、なかなか選ぶことができない。


「綾。どこにする?」


「あたしは……」


緊張した表情をしながらも、綾は一番にペンを握りしめていた。


みんなの気持ちを察して、率先して動いているのがわかった。


「ここにする」


そう言い、線の真ん中を選び、線の上に自分の名前を書いた。
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