地獄船
唖然として相手を見上げていると、その左右に同じ姿をした沢山の鬼たちが集まって来るのが見えた。


中にはヒョウ柄の布で胸まで隠している鬼には角がなく、小さくて走り回っている鬼もいる。


角を持っていない鬼が、小さな鬼をしかり付けている。


鬼の親子。


そう形容するのが一番しっくりくる光景だ。


なんだこれ。


俺はゴシゴシと目をこすり、何度も船の上の光景を見直した。


しかし、それが変化することはなかった。


大きな鬼は「ゴホン」と咳払いをすると、俺たちを見おろした。


その咳払いで、小さな鬼たちまで静かになった。


「えー。非常に残念だが、お前たち、9人? ひーふーみー……うん、9人だな。9人は選ばれた」


鬼は俺たちを1人ずつ指さして数えて、そう言った。
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