地獄船
歌い終えた瞬間、広間内に沈黙が下りて来た。


浩成の視線が痛いほど突き刺さる。


ごめんな浩成。


心の中でそう謝罪をして、ステージを下りた。


「お前……」


浩成が何かを言おうとしたのを無視し、綾へと近づいていく。


浩成はきっと気が付いていたのだろう。


俺がわざとへたくそに歌った事を。


「綾、次はお前の番だ」


俺はそう言い、綾にマイクを手渡したのだった。
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