地獄船
食べ物の匂いで吐き気も感じる。


他の3人も同じようで、青ざめたまま料理に視線を落としている。


このまま食事が終わってしまえばいい。


そう、思ったのだが……。


「どうしたお前ら、食べないのか?」


鬼がそう聞いて来たのだ。


俺は顔を上げて鬼を見る。


鬼はずっと何かを食べ続けていたのに、今はフォークに刺さった大きな肉を食べている。


「食欲がなくて……」


綾がそう返事をした。
< 154 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop