地獄船
そこそのこ高さがあるはずなのに、ドシンッという大きな音と共にしっかりと着地した。


間近で見る鬼は身長2メートルほどあり、筋肉の分厚さに圧倒されて、俺は後ずさりをしてしまっていた。


後に続くように小さな鬼たちも次々と飛び降りて来る。


その数は両手では数えきれないくらいだ。


「おい、これが演出か?」


俺は千春にそっと訊ねた。


千春はブンブンと左右に首を振り、その顔を青ざめさせている。


鬼の面も、体も、作り物にしてはリアルすぎた。


走り回る子鬼たちも、被り物だとは思えない。


「よし、広間へ案内しろ」


鬼が金棒を振り上げてそう言うので、俺たちは混乱しながらも広間へと戻ることになったのだった。
< 16 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop