地獄船
☆☆☆

金色の船の上には沢山の装飾品が飾られていた。


コンクリートで作られた土台の上に鬼の銅像が乗っている。


グネグネと曲がりくねった大きな壺や、自由の女神に似た鬼の像もある。


どれも土台にしっかりと固定されているが、見たことがないものばかりだった。


きっと、人間の世界には売られていないものなのだろう。


鬼が乗る船という事ですべてが特大サイズだ。


客間へ続く扉は見上げるほど大きく、広い。


俺たち4人が横に並んでもまだ余裕があるほどの廊下。


船の中を歩いていると、自分たちが小人になったような気分だった。


「誰もいないみたいだな」


先を行く浩成が呟いた。


船の中はとても静かで、電気音だけがどこからか聞こえてきている。


人間はもちろん、鬼もどこにもいない。


「やっぱり、船にはいないんじゃないか?」


俺がそう言った時だった、浩成が大きな扉の前で立ちどまった。


それは客室とは違うようで、銀色の扉をしていた。
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