地獄船
「泰明……?」


ミヅキがそう呟くのが聞こえて来て俺は立ち上がった。


少しふらつくけれど、どうにか扉の前まで移動する。


ミヅキが何かに取りつかれたように部屋の中を歩くのが見えた。


「ミヅキ、なにしてんだよ!」


部屋の外から声をかけると、ミヅキが立ち止まって振り向いた。


その顔には表情がなかった。
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