地獄船
それは永遠のように長い時間だった。


ミヅキの叫びが止まった頃、船内を歩く足音が聞こえて来たのだ。


ドシンドシンと地響きが鳴るような大きな足音に、ハッと息を飲む。


間違いない、あれは鬼の足音だ。


ミヅキの悲鳴を聞きつけてやってきたのかもしれない。


綾の手を取り、立ち上がる。


ここは一本道で、突き当りにあるのが冷凍庫だ。


逃げ道はどこにもない。
< 173 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop