地獄船
ミヅキの、なんの感情もこもっていない声が聞こえて来る。


生きることに絶望し、すべてに感心がなくなったような声。


途端に、胸の中に冷たい風が吹いた。


どうしてそんな悲しい事を言うんだよ。


まだ生きているのに、どうしてもう死んでいるような事を言うんだよ。


「ミヅキ、諦めないで!!」


綾が叫ぶ。


「……ありがとう綾、早人」


そう言いながらも、ミヅキは腕立てを再開しようとしない。
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