地獄船
半分ガッカリしながらもテレビで見たことのあるひょっとこのダンスを思い出す。


もしかして次はひょっとこダンスをさせられるんじゃないか?


テレビで1度見たきりのダンスなんて、覚えているわけがない。


笛と太鼓のリズムに合わせて股間をクイックイッと突き出す奇妙なダンスだったことだけは記憶していた。


そんなダンス、綾ができるとは思えなかった。


すっかり準備が整った時、鬼と子鬼がトイレから戻って来た。


子鬼はすっかり元気で走り回っている。


「おぉ、もう準備万端だな。じゃぁ、次のゲーム!」


マイクを使わない鬼の声が広間に響く。


隅から隅まで十分に届く大きな声だ。


「次のゲームはぁ……どれだけひょっとこになり切れるかゲーム!!」


子鬼たちの拍手が聞こえて来る。


俺と綾と浩成はポカンをしてその場に立ちすくむ。


どれだけひょっとこになり切れるかゲームって、一体どういうことだよ!
< 205 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop