地獄船
だけど、やるしかない。


俺たちはそれぞれステージに立ち、ひょっとこのお面を持った。


顔に付けてみると視界が一気に狭くなる。


でも、お面をつけるだけで子鬼たちは楽しそうに笑った。


「なにあれ、超ウケるんだけど」


ギャル鬼の下品な笑い声が聞こえて来る。


さらし者になっていると思うと少しだけ腹が立つが、お面だけでこれだけ笑えるなら頑張れば勝ち残れるだろう。


俺は右隣に立っている綾へ視線を向けた。


狭い視界の中、ひょっとこのお面が見える。


綾の表情は見えなかったが、俺は「死ぬ気でやろう」と、声をかけたのだった。
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