地獄船
呆然と立ち尽くす俺たち。


「ん、お前らどうした? 面白かっただろ?」


そりゃまぁ確かに面白かった。


鬼がひょっとこのお面を被って踊ってるんだからな。


でも、どうしてお前が躍ってんだって話だよ。


「あ、そういえばゲームの最中だったなぁ。悪いなお前らの見せ場とっちまってさぁ」


鬼はわざとらしくそう言うと真っ赤な舌を出して見せた。


効果音がつくならペロッ☆というところか。


そんな可愛いものでもないけれど。


「仕方ねぇから、次のゲームいくかぁ」


「い、今のゲームの勝敗は!?」


慌てて聞くと、鬼が「はぁ? そんなん俺の1人勝に決まってんじゃん」と言った。


お前も参加してたのかよ!


クソッ!


せっかく頑張って恥ずかしい動きを繰り返したっていうのに。
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