地獄船
3周目になると綾が2ペア、俺が1ペア当てた。


浩成の表情が険しくなってくるのがわかった。


だけど、勝負はまだこれからだ。


ほとんどのカードがまだめくられていない状態だ。


幼い頃経験した神経衰弱とは違い、張り裂けそうな緊張感が漂っている。


さっきから子鬼たちも固唾を飲んで見守っている。


そのまま黙って続けていると、鬼が大きな欠伸をした。


見るとつまらなさそうにこちらに視線を向けている。


生死をかけたゲームにしては地味すぎるのかもしれない。


だけど、このゲームを用意したのは鬼の方だ。
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