地獄船
「お前らさぁ、本当にちゃんと記憶して行ってんのかよ」


鬼がそう言いながら近づいて来た。


思わず身を引いて鬼の場所を開けてしまう。


「これとこれ、これとこれだろうが~」


鬼が勝手にカードをめくり、自分の手持ちにしていってしまう。


「な、なんでそんなこと……」


浩成が焦ったようにそう言った。


自分たちのとれるカードが少なくなってしまう。


「お前らがトロトロしてるからだろ? ほら、次は誰の番だ?」


鬼はテーブルから離れようとしない。


どうやらこのまま神経衰弱を続けるつもりでいるようだ。
< 222 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop