地獄船
その玉は俺の頭上をかすめて後ろの壁にめり込んだ。


なんだよこの剛速球は!!


プロの野球選手顔負けの玉がどんどん投げつけられる。


これに当たればひとたまりもない。


骨は砕け、玉は人体を貫通してしまうかもしれない。


綾は俺が言った通り身をかがめて玉に当たらないように気をつけている。


肉玉を投げ合っているのは子鬼たちだけだ。


俺はチラリと鬼を見た。


鬼はつまらなさそうに俺たちを見ている。


このままじゃ鬼の機嫌を損ねてしまうかもしれない。
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