地獄船
「早人!」


そんな声が聞こえて来て俺は視線を向けた。


千春とイブキの2人が部屋の中に入って来る。


俺は大きく目を見開いた。


2人が観覧車から吹き飛ばされた光景が蘇って来る。


俺は2人から逃れようと身をよじる。


しかし俺の体は色々なチューブに繋がれていて身動きができない。


「早人安心して。あたしたちはちゃんと生きてる」


千春がそう言い、俺の手を握って来た。


その手にはしっかりとした暖かさがあった。


「な……んで……?」


声を絞り出すと、イブキが小さく頷いた。
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