地獄船
なにも残っていない胃がせり上がって来るのを感じる。


「痛い! 痛い痛い痛い!!」


ミヅキが叫び、床をゴロゴロと転がってもだえる。


床はあっという間に血だらけになり、周囲の子鬼はやっぱり楽しそうに笑う。


「はやく、止血しないと!」


ハッと我に返ったように綾がそう言った。


「あ、あぁ。そうだな」


俺は頷き、ジャージの上を脱いだ。


のたうちまわっているミヅキに駆け寄り、それを耳に押し当てた。


出血だけでも止めてやらないと、死んでしまう。


ジャージがミヅキの血で染まって行く。


赤黒いシミが広がって行くにつれて、ミヅキの顔色は悪くなっていく。


「いやだ。いやだ、死にたくない。死にたくない」


ガクガクと震え、その目から涙があふれ出す。


「大丈夫だよミヅキ。止血すればきっと助かるから」


綾が懸命に声をかけているけれど、ミヅキの体の震えは止まらない。
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