地獄船
この状況でバック転は弱かった。


弱すぎだった。


文夫の顔から血の気が引いていく。


審査員の子鬼へ向けている目にはすでに涙が浮かんでいた。


「あ~……終わり?」


鬼の声が聞こえて来て文夫の肩がビクリと震えた。


「お……終わりです……」


「あっそ。じゃぁ審査」


鬼が投げやりに言う。


これはダメだ。


絶対に0点だ。


誰もがそう思ったが……○が2つ上げられていたのだ。
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