地獄船
どういう経緯でひまわりの種の話になったのか気になったが、次は俺の番だった。


ひとまず綾が最下位になる心配は消えたわけだし、あとは自分の特技を発揮するだけだった。


「次~」


鬼の間の抜けたような声が聞こえて来て、俺は深呼吸をした。


綾が俺の肩に手を振れる。


「さっきは声をかけてくれてありがとう。お蔭でいつもよりも実力が発揮できた」


「そっか。それならよかったよ」


「早人も、きっと大丈夫だから」


「あぁ……。じゃ、行ってくる」


俺は綾の手を1度握り返してから広間の中央へと足を進めたのだった。
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