地獄船
手の甲にも手のひらにも、なにもない。


「ここに赤いハンカチが一枚あります」


ポケットからハンカチを取り出す星斗。


そのサイズは通常のものより少し小さめに見える。


「なんの変哲もないハンカチです。ご覧ください」


そう言い、一番近くにいた子鬼にハンカチを渡す。


子鬼はハンカチを裏返したり、振ったりして確認している。


なにもないようだ。


「それではいまからこのハンカチを消してみせましょう!」


子鬼からハンカチを返してもらい、そう言う星斗。


子鬼たちから楽しげな笑い声が聞こえた。


反応は上々だ。
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