君の腋を舐めたい
あとがき
1
霊視刑事 星野ヨシヒト
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<・・・・・・・行くぞ。>
小声ながら、ドスの効いた声がイヤホンを通じて左耳の鼓膜を揺らす。
その直後、ドアを蹴破る大きな音がイヤホンを付けていない右耳の鼓膜を揺らした。
“警察だ!!”
“大人しくしろ!!”
関本主任を筆頭に、
“正面”班の怒号が響きながら・・
<星野!!裏口に回った!!>
「・・・了解です。」
“バンッ!!”
「!?」
「ようこそ。」
「クッ・・どけぇ!!!!」
関本主任の予告通り、
裏口から現れた“被疑者”。
僕に体当たりをかまそうとしてきた力を利用して、そのままの勢いで・・・
「一本背負い!一本!!」
「おぉ~・・・初めてこんなに上手く決まりました。」
「ガハハ!よくやったぞ星野!!」
追いついた正面班の皆さんのフォローもあって、ジタバタと抵抗する男を落ち着かせる。
「ちくしょう!ちくしょうちくしょう!!」
「1ヶ月もよく逃げ延びやがったな・・。
大沢シロウ。窃盗及び傷害致死の容疑で現行犯逮捕する!!」
関本主任が手錠を見せるとようやく観念したのか・・“ひったくり犯”大沢が大人しくなった。