君の腋を舐めたい
この暑さで頭がやられたわけじゃない・・
照りつけるコンクリートが見せた蜃気楼じゃない・・
今確かに一瞬・・・!?
「視えましたか?」
「・・はい・・今・・
水沢さんが・・!!」
一瞬だけこの両目が捉えた。
水沢さんが何かを叫ぶというか・・
何かを必死に呼ぶように・・
“空気”が変化した・・。
「豊川さん・・これは一体・・!?」
「君の力は益々増していますね。完全に開花する日もそう遠くないかもしれません。」
「・・・・・・・・・。」
「あれは恐らく・・【生き霊】です。」
「生き霊・・・!?」
「私も視たのは久しぶりです。
死者となっていればハッキリ視えるはずですが、
あんなにも薄く一瞬で消えたので間違いないでしょう。」
・・・・生き霊・・・・。
生きている人の念の塊と呼ばれるもの。
妬み、怒り、恨みといった、
相手を痛めつけたいと思う攻撃的な気持ちを持つ生者の強い念が生み出すものだけど・・
幼い頃、父から教わった“生き霊”には・・もう一つのタイプがある。