君の腋を舐めたい
『グハハハ!交通課のエミリちゃんが最近彼氏と別れたらしいぞ。
テッちゃん星野!
今がアタックチャーンス!!』
「・・・・・ふざるようだったら星野君に不動明王真言唱えて貰うけど大丈夫ですか?」
ただ・・・あまりに正義に懸ける想いが強かった加賀さんは、
一般的な“徘徊霊”ではなく、セイズ署の“地縛霊”になってしまったようで、
その行動範囲は署の敷地内に限られてるらしい・・。
一緒に捜査にも出られるんだったら鬼に金棒だったけど、
一日中セイズ署内を徘徊する加賀さんが仕入れる情報は、
交通課女性陣の井戸端会議の内容だったり、署長室での超機密会議内容だったり、
でもお陰で豊川さんは・・
一日中喫煙所にいながら、セイズ署員の動向その全てを知り尽くしていた。
『冗談はさておき、
ちょいと気になってる事がある。
アサミの失踪や福留に繋がる話かどうかは分からんけど。』
「なんですか・・?」
『最初は偶然かなぁ~って思ってたけど、
あんまりにも気持ち悪いんで、
今は嫌でも目立ってるんだよなぁ。』
「加賀ちゃん。
勿体ぶらずにさっさと教えなさい。」
『・・・・・・・・・・・。』
「「・・・・?」」
加賀さんが僕達に向けて“こっち来い”と首をクイッとした後・・
柵を越えて・・空中に浮かぶ。
もしろん僕達は浮けないので、
屋上と空気を隔てる最縁まで移動する。