君の腋を舐めたい
『ちょっと待て~い!
まぁテッちゃん聞け。
俺の長年の【勘】がうずいてる。
今すぐあの女捕らえてこい。
タイミングが良すぎだ。』
「“タイミング”と言うと?」
『月水金。もしくは火木。』
「「・・・・・・・。」」
『グハハ暇な地縛霊を舐めちゃいかんぜ?
あのお嬢ちゃんが来る日を憶えておくうちに、行動パターンが見えてきた。
あの子は隔週で曜日決めて、
ここへ来て何かを観察してる。』
「「・・・・・・・。」」
『“何が目的”なんてこたぁどうでもいいんさ。重要なのは【毎日は来ない】って事。
俺は“仕事が無い日に来てる”と読んだ。』
「では毎日稼働する社会人ではなく、
恐らくシフト制のアルバイトでしょう。」
「加賀さん・・でもそれが一体・・?」
『星野。今日は何曜日だ?』
「木曜日です。」
『あのお嬢ちゃん・・
今週は月水金の週なんだぜ?』
「「!?」」
『なんでルーティンを崩して二日連続で来たんだろうなぁ。
人が“いつもと違う行動”をすると、
どうも気になっちまうんだよなぁ。』
「あの不審者さんにとって・・
昨夜か今日に何かイレギュラーな出来事が起きてセイズ署へ今日も来たって事ですか?」
『な?テッちゃん星野。
タイミングが良すぎるだろ?
“アサミが居なくなった”って騒いでる時に、不審お嬢ちゃんがイレギュラー行動。
俺の長年の勘が、“関係ないとは言い切れない”って疼くもんよ。』
「・・・・・星野君。すぐにあの不審者に職質をお願いします。」
「分かりました・・!」
『グハハハ!あ、もし全くアサミと関係無かったらごめんな!』
屋上から館内へ戻って、
裏手から敷地外へ出る。
気付かれたら、
逃げられる恐れがある・・・。
「・・・・・・・・・・・・。」
忍び足で近寄って、屋上から見えた黒い影に一直線に向かった・・!