春の緑に青が混ざると【完】



「そんなことないよ。さっきの演奏聴いてたけど、すごい良かった。なんて、生意気なこと言って、全く素人だけど俺」



ふはは、と体を逸らして笑う。


この人はよく笑うな……と、他人事のように思う。


そして、なんて楽しそうに笑うのだろう、この人は。



「まあ、でもこうやって練習して良くしようと思ってるってことは、多少なりとも上手くなりたい、ってことでしょう?それってやっぱり心の底ではそのオーボエが好きってことなんじゃないかな」



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