俺様外科医との甘い攻防戦

 奥村さんの去って行く背中を眺めながら、ひとり呟く。

「俺が甘党って知ってたんだな」

 クスリと笑い、椅子を引く。

「どうしたら、こっちに振り向くかな」

 チョコの箱を顎に当てながら、目を閉じる。純粋そうな奥村さんの顔が浮かび、乾いた笑いをこぼす。

「ミイラ取りがミイラになりそうだ」

 チョコを脇に置き、パソコンの電源を入れる。今日手術予定の患者のカルテを開くと、必要事項に目を通し始めた。
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