俺様外科医との甘い攻防戦

「それは、自棄(やけ)になっているんだろ?」

「自棄じゃありません」

「言っておくが、俺、手術後で」

「はい。存じております」

「優しく、出来ないぞ」

 一歩距離を詰めた久城先生に、抱き竦められる。

「俺しか考えられなくしてやるよ」

 言われなくても、久城先生しか考えられない。
 だから、大人の関係になって捨てられればいい。

 自棄になっているのだと思う。
 もう、なにもかもがどうでもよかった。

 抱き上げられ、ベッドに座らされる。
 私の前に膝をついた久城先生に見つめられ、それから唇が重なった。

 それは性急に深くなり、今までと違う口付けに息を切らす。
 戸惑う暇もなく、スクラブは脱がされ、下に着ているキャミソールが露わになる。

 妖艶に重ねた唇は首すじに触れ、甘い吐息を漏らさせる。
 声に呼応するように、隅々まで唇が触れ、身悶える。

 熱い指先は肌に滑らされ、熱に浮かされるように久城先生にしがみついた。
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