俺様外科医との甘い攻防戦

「どうして、それを知っているんだ」

 問い質すというよりも、優しく問いかけるように聞かれ、涙が余計にあふれてくる。

「東雲、先生が。久城先生は、東雲先生に憧れている人に、ちょっかいをかけて、自分に惚れさせて、惚れたら、ぽいって」

 東雲先生から聞いた話を要約して伝えると、大きなため息を吐いた。

「律紀の奴……」

 もう一度、深くため息をついてから、肩に頭を預け、擦り寄せられる。
 首にかかる髪と、擦り付けられるおでこがくすぐったい。

「半分は本当。半分は、あいつが俺をけしかけるために言った嘘」

「けしかける?」

「順番に話すから聞いて」

 肩を抱き寄せられると、シーツがはだけそうになり、慌ててシーツも布団もかき集める。

「それじゃ陽葵が遠いだろ」

「だって、私だけ、なにも着て、な」

 おもむろに久城先生がシャツを脱ぎ出して、急いで制止する。

「ま、待ってください」

「俺が脱げば同じだろ」

「そういう問題ではなくて!」
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