俺様外科医との甘い攻防戦

「私は、まだ『蓮弥さん』と呼ぶのも慣れないくらいなので、今は、気持ちが通じ合った余韻に浸りたかったんです」

 柔らかな表情を浮かべ、私の髪に手を差し入れると後ろに梳かす。

「結婚しても甘い関係でいるつもりだから、大丈夫」

 言葉通りの関係を予感させるような甘い口付けを交わし、改めて抱き寄せられる。

「抱きたかったなあ」

 ポツリと呟かれた言葉に、体を固くする。

「少し眠ろう。愛し合うには時間が足りない」

 胸を騒がしくさせる言葉を言っておいて、久城先生は目を閉じる。
 その美しい寝顔を恨めしげに見つめてから、私も目を閉じた。
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