俺様外科医との甘い攻防戦

 それは、結婚式をお願いする上で、「もう一度涼介さんにお会いしたい」とお願いし、会う運びとなったとき。

 結婚式の打ち合わせも兼ねた、顔合わせを設けてもらった。

「この度は結婚式のお料理の依頼を快く引き受けてくださり、ありがとうございます」

 頭を下げると、久城先生は「そんなに丁寧な挨拶はいいんだよ」と、笑う。

「陽葵さん。あの日以来ですね」

「はい。あのときも、色々とご迷惑を……」

 初めてここを訪れたときは、久城先生からカードキーを渡され、困り果てた末に涼介さんを頼ってしまった。

『私にはとても受け取れないので、久城先生に返していただけませんか?』と。

「蓮弥が強引過ぎたのがいけないのだから、気にしないで」

 少し言葉がフランクになったのは、久城先生と知り合いだからだろう。

 久城先生が「お前が受け取らなければ、もう少し早くここに連れてこられたかもしれないのにな」と、応戦している。
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